突然ですが、ヒトはなぜむし歯になるのでしょう?
むし歯になる要因、むし歯に影響を与える要因は何でしょう?
「虫歯菌!」と答えたあなた。
うーん、50点?
むし歯の発生要因を表す「輪」
1960年代にKeyes(カイス)という人が提唱した「Keyesの輪」。歯、細菌、糖の3つの要因が重なり合うところでむし歯が発症することが示されています。歯の表面に付着した細菌(プラーク)が糖を代謝・分解して生まれた酸が歯を溶かす、というメカニズムが元になっています。
1970年代になるとNewbrun(ニューブラン)という人が、時間の要因も追加した「Newbrunの輪」を提唱しました。プラークが酸性の状態になる時間が長いほどむし歯になりやすいことが分かってきたのです。
そして、これらの要因を取り除くことがむし歯予防の基本的な考え方になっています。
最近の考え方
せっかくなので、少し知識をアップデートしたいと思います。
その後、上述した要因(生物学的要因)だけでなく、社会環境要因や保健行動要因も加味した「Fejerskov(フェジェルスコフ)の輪」が示され、現在の考え方の主流となっています。
社会環境要因には、個人の社会的地位や収入、受けてきた教育が含まれており、保健行動要因には、保健行動に関する知識や習慣、個人の考え方(態度)が含まれています。
このように、むし歯は多くの因子が関わる「多因子疾患」「生活習慣病」と考えられています。
引用文献
- Keyes PH. Present and future measures for dental caries control. J Am Dent Assoc. 1969 Dec;79(6):1395-404.
- Newbrun E. Chapter 2. Current concepts of caries etiology. Cariology, Williams & Wilkins Co, Baltimore, 1978.
- Fejerskov O. Changing paradigms in concepts on dental caries: consequences for oral health care. Caries Res. 2004 May-Jun;38(3):182-91.