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歯科治療で全身麻酔?

このコラムのポイント

①歯科における全身麻酔とは
②歯科における全身麻酔はどのような患者さんに使えるのか

こんにちは。

 前回は「リラックス麻酔」についてご説明をしましたが、本日は歯科治療における全身麻酔について説明していきたいと思います。

 歯科治療で全身麻酔?全身麻酔は麻酔科医(医師)がやるもので歯科医師はできないのでは?と思われる方も多いかもしれません。実は歯科医師は、歯科治療において必要な場合に全身麻酔を行うことができるのです。この場合の全身麻酔では、外科や整形外科、耳鼻咽喉科などで行われる一般的な全身麻酔と同じ器材、同じ薬剤を使用します。ただし、どんな歯科医師でもできるわけではなく、前回も少し登場しましたが「歯科麻酔認定医・歯科麻酔専門医」の資格を持った歯科医師がしっかりと設備の整った病院で行います。そのため、歯科麻酔科医は様々な試験や医科麻酔科研修(医師の監視のもと医科の手術で全身麻酔の研修を行うもの)を経て資格を取得しています。※1

 元々は麻酔科医(医師)が行うものなのに、歯科医師が麻酔科医から仕事を奪おうとしているのか?そうではありません。歯科治療において、全身麻酔が必要となる場面は多々あります。逆に、歯科医師が全身麻酔を行うことで、歯科治療に特化した全身麻酔を行うことができるという利点があるともいえます。

例えば

  • 生まれつき顎の形が変形してしまっている患者さん【顎変形症】
  • 歯茎や舌に腫瘍ができてしまった患者さん【口腔がん】
  • 顎の骨を骨折してまった患者さん【骨折・外傷】

などは、治療のために入院下で全身麻酔が必要です。また、

  • 重い障害のために歯科治療を受けたくても協力できない患者さん
  • 歯科治療の必要性を理解することが難しい患者さん
  • 「リラックス麻酔」でも治療が難しい患者さん

なども全身麻酔の使用が必要です。このような障害をお持ちの患者さんに、近年では日帰りで全身麻酔ができる施設が増えてきました。日帰り全身麻酔の対象となる条件は注釈をご覧ください。※2

【歯科における全身麻酔が取材されていました!】
https://mainichi.jp/articles/20230303/k00/00m/040/015000c

 当たり前ですが、全身麻酔中は歯科麻酔科医が心電図や血圧を監視し、異常があれば薬の投与などの対応を即座に行います。また、手術前後の患者さんの管理も医師や口腔外科医とともに行います。

 最後になりますが、近年では医療の発達に伴って医科の診療科同士の境界、医科と歯科の境界が明確に区別されるべきという考えが強まっているように思います(実は医科と歯科が分かれた頃から続く問題だったのですが)。そのため、病院によって耳鼻咽喉科や形成外科が口腔がんの治療を行うこともあれば口腔外科が行うこともあり、今の所全国的な統一は図られていません。また、耳鼻咽喉科や形成外科と口腔外科が共同で手術を行うことも多くなっていると聞きます。少なくともどの診療科が手術を担当しても、患者さんに最適な治療を行うことができる環境が確立されています。

【まとめ】

 歯科治療における全身麻酔は、口腔がんや顎の骨の骨折などの大きなものから、障害がある患者さんの治療など広く使われています。全身麻酔の実施は、専門的な資格と技能を持った「歯科麻酔認定医・歯科麻酔専門医」が行います。

【注釈・参考資料】

※1:歯科医師の医科麻酔科研修
http://kokuhoken.net/jdsa/unav/training.html

※2:日帰り全身麻酔の適応
(1)歯科治療に非協力な患者(自閉スペクトラム症・低年齢児など)
(2)不随意運動が著しい患者(脳性麻痺など)
(3)局所麻酔にアレルギーを示す患者
(4)精神鎮静法でも管理できない歯科治療恐怖症や異常絞扼反射などの患者
(5)多数歯にわたる治療

※3:日本歯科麻酔学会Q&A
http://kokuhoken.net/jdsa/about/qa.html#general

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歯学部4年。「医科歯科連携」を実現可能な社会を目指し、学会や勉強会、学生団体などに積極的に参加。関心分野は歯科麻酔学、口腔病理学、口腔外科学(薬剤関連顎骨壊死/MRONJ)。日本歯科麻酔学会および日本臨床口腔病理学会 学生会員。日本有病者歯科医療学会、日本口腔顔面痛学会、日本口腔外科学会などに参加。BLSプロバイダーコース修了。

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